【古文】古文を勉強する前に頭に入れておきたい2つのこと

古文という科目の特殊性を知ってください。
古文の特殊性は、何といっても次の二つでしょう。

1, 専攻者が少ない。

センター試験の英語で、たとえば解答が二つあるような問題がでると、クレームが殺到します。高等学校の英語の先生はもちろん、経済を出て商社マンをやっているような人や、果ては日本に住んでいる外国人まで、英語ができる方は世間には多いからです。

ところが古文の場合、ほとんどクレームは出ません。

古文ができる方は、文学部国文科(日本文学科)や国史学科(日本史学科)、法学部の日本法制史専攻、経済学部の日本経済史専攻などに限られており、しかも、本当に出来るのは、自分の専修分野の前後100年に限られるからです。

私は幸いに、禪が近世文学に与えた影響を専攻していますから、鎌倉~江戸が専門です。すなわち、全後100年が理解できる範囲ですから、平安から明治までできます。プラス漢文までできます。これは、偶然ですが非常にラッキーでした。そういう人は少ないから、問題の良否については、あまりコメントできないのが、現状でしょう。

ですから、現実も入試問題でも、チェックが少ないせいか、他の科目よりも無理な問題が出題される傾向があります。

2, 専攻者でないとわからないことが多い。

世間には、東大卒の家庭教師に頼んで、その先生の学力の高さに期待する人がいます。よくわかります。教え方とはいいますが、学力がなければ意味がないからです。

たとえば英語は、学部に関係なく出来る方に習うべきです。英語は言葉ですから、文学、たとえば大学で英文学史の単位を取ったかどうかには関係がありません。どんな専攻であっても、できるだけ英語ができる人に教えてもらうのがいいでしょうね。
しかし、古文の場合、明らかに古文専攻の人(国文科だけではなく、先に挙げた専攻も含みます。)にみてもらうべきです。

その理由は、

イ 学説の対立があるから。

たとえば、形容詞ク活用の未然形は「から」しかなく、「く」は連用形だけです。国語学の学会レベルですでに決着がついたことですが、一般の人は知りません。

ロ 大学以降でなければ教えられない、文法理論があるから。

たとえば、
「国司、京へ上らむ」は、「国司は京へ上るだろう」あるいは、「国司は京へ上った方がいい」とは訳せますが、「国司は京へ上るつもりである」とは、絶対に訳せません。もしもそう訳せることを証明で来たら、文化勲章がもらえます。なぜならば、「む」は、「話し手が思う」という意味だからです。難しい言葉でいうと、助動詞の人称の問題は、大学以降の国語学の範囲です。

ハ 高度な国語常識が問題になるから。

平安時代の日記に、月の光を避けるという描写が出てきます。おばあさんが月夜に、添い寝している孫に蒲団を掛けてあげて、月光が当たらないようにするなどです。なぜ、そんなことをするかというと、月光は西方浄土の光だからです。孫が阿弥陀如来に浄土に連れていかれて死んでしまうからです。国語常識というと、家具の名前などが取りざたされますが、最も重要なのは、仏教です。ここは、専門家の独擅場です。

皆さんの近くに、高校の先生など専門の頼りになる方がいれば幸いです。そういう先生の、一見雑談かと思われるお話を大事に聞いてください。

古文
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